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「AppLiftの視点」シリーズ:アドテクにとってGDPRが有益な理由とは?

Gdpr Blog 1

本稿はMarTech Advisorに掲載された記事です。

GDPRがいよいよ施行されました。GDPRが多くの人にとって課題をもたらすことは間違いありませんが、心配したり不満を言ったりしてはいられません。対応策を取り、この新たな規制がもたらす良い面を考えましょう。

GDPRは究極的には業界のためになるものです。なぜならそのために必要な投資ができない、もしくは投資をしようとしないプレイヤーを排除することができるからです。企業は多くの技術的なチェック項目をクリアしてコンプライアンスを実現しなければならず、おそらく弁護士やデータストレージ、そして新たなコンプライアンスプロセスに投資をすることになります。そこではある程度の専門性が求められます(適切な組織構造が整っていることも合わせて必要ですが)。

顧客やマーケターは名前を聞いたことのある企業をより信用しやすいため、この新たな規制はFacebookやGoogleなどの業界の巨人に資するかもしれません。しかし、熱心に取り組む他のプレイヤーにも得るものがあります。長期的には規制を遵守しつつ臨機応変に対応できる企業が市場シェアを勝ち取るでしょう。大企業にとって臨機応変であることは簡単ではありません。GDPRの展開とともに、皆さんは必要に応じて自社の技術的な積み重ねを速やかに変更し、それらの変更を精緻化するのに備えなければなりません。

ヨーロッパではすでに、GDPRに対応するために何かを変えるのではなく、市場を別の場所に移す、場合によっては市場から撤退するという選択をする企業も出てきています。もし皆さんがGDPR関連のプロセスや変更に投資をしているのであれば、それは将来回収するものだと考えてください。それらは持続可能なビジネスの構築に必要なステップなのです。皆さんの計画を主張し、その努力をクライアントや見込み顧客にしっかりと伝えましょう。

GDPRへの対応が十分でなかったケースがFacebookのCambridge Analyticaの失態です。これによってマーケターのみならず消費者もデータプライバシーに関心を持つようになりました。人々は自分のデータの使われ方がますます心配になり、そのためにデータ関連のポリシーがさらに一層重要になっているのです。組織がデータ関連の規制を遵守するのは単に罰金を逃れるためだけではありません。人々の信用を勝ち取り、皆さんのブランドをルールを守る、信頼できるものとして位置づけるために必要なのです。

GDPRはデジタル業界のエコシステムにおけるマーケターの信用を再構築するのにも役立つ可能性があります。ブランド企業は自分たちのブランドの安全性と透明性の問題をうるさく言ってきました。GDPRがこうした問題を払拭するわけではありませんが、広告主の認識に関して言えば待ち望んでいた正しい方向への第一歩になり得ます。顧客が不要な広告をより簡単に拒否することができるため、広告のパフォーマンスは長期的にはむしろ改善するかもしれません。広告を拒否する人はおそらく広告に対し何かアクションをすることもなかっただろうと考えられ、こうしたユーザーを排除することはパフォーマンス向上につながります。

もちろんすべてがバラ色というわけではありません。GDPRに関しては誰もが課題に直面しています。この規制の施行とともに、プレイヤーたちが慌てて自分たちの責任を逃れようとし、性急に契約を修正するケースが増えることが容易に想像できます。しかしこれはすぐに透明性には役に立たなくなるでしょう。ユーザーが大挙して広告を拒否すればスケーリングやターゲティングの問題が生じ、インベントリの評価に影響を及ぼしかねません (おそらく供給が減りパフォーマンスが向上すればインベントリの価値は高まりますが、現時点では不明です)。また、必要な変更をしていなくてもしたと主張する企業も現れ、私たちはこうした「はったり」も目の当たりにすることになるでしょう。

マーケティングテクノロジー企業は速やかに策を講じ、自社の投資を顧客基盤に伝え、自らを熱心に取り組む信頼できるプレイヤーとして位置づけることに注力しなければなりません。

最後には優れた企業が必ず頭角を表すものです。

詳細は様々な種類のデータが新たな規制のもとでどのように展開するかを示した当社の最新インフォグラフィックス(mParticle社との共著)をご覧ください。

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