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スクール・オブ・アドテク:モバイルリターゲティングとは何か、なぜ必要なのか

スクール・オブ・アドテクへようこそ。このAppLiftの連載記事ではアドテクの基本を読者の皆さんにわかりやすくご説明します。モバイル広告業界の最近の話題といえば、もっぱらアプリリターゲティングです。今回はモバイルリターゲティングとは何か、そして、なぜ皆さんのアプリにそれが必要なのかを解説していきます。

今日のパフォーマンスマーケティングは購買者の意図に依存し、ビジネスとしてはこれを活用できれば早い段階で金脈を掘り当てることができます。ユーザーのリテンションに関する統計から、ユーザーのリエンゲージメントおよびリターゲティングの重要性が今日のマーケターが価値を最大化するために極めて有益であることは明らかです。リエンゲージメントの手法としてのリターゲティングは、ユーザーの意図をコンバージョンへと転換するのに役立ちます。

なぜリターゲティングが重要なのか?

多くの広告主にとって、リターゲティングは新しいコンセプトではありません。デスクトップの時代にはユーザーに合わせて広告を表示させるのにクッキーに厳密に依存していましたし、モバイルアプリでのリターゲティングはデバイス識別子、特にIDFAとGoogle Ad IDsが頼りです。

モバイルでのapp-to-appのリターゲティングでは、過去に広告主のアプリや広告に接触したユーザーを絞り込み、RTB ExchangesやSSPを介してプログラマティックに、リアルタイムで入札を行います。広告主は、SDKをインテグレーションすることでユーザーのアクティビティを追跡することができます。その後、ユーザーレベルのデータを自分たちが選んだリターゲティングパートナーに送ります。それを受け取ったパートナーは、イベントのフリークエンシーやリーセンシーも考慮しながら、過去のユーザーアクティビティを基にユーザーセグメントを構築することができます。これらのユーザーアクティビティとリターゲティングアクティビティは、広告主がユーザーの行動ごとに定義するKPIに基づいています。例えば、「アイテムをカートに入れる」「購入する」「直近X日間アプリを開いていない」などのユーザーの行動が追跡・分析の対象となり、リターゲティング戦略の策定に使われます。

上記の図は、モバイルアプリのリターゲティングのプロセスを簡単に示したものです。あるユーザーが皆さんのアプリ上である製品を閲覧し、何もせずに(例えば、製品の購入やホテルの予約などをせずに)アプリを離脱したとしましょう。ここでリターゲティングの役目は、ユーザーに最近閲覧したその製品の広告を見せ、(特別価格や「おすすめ」などで)ユーザーの興味を再び喚起してその広告をクリックさせ、ディープリンクを通じて広告主のアプリに誘導することです。もしアプリがユーザーの端末にすでにインストールされていれば、ディープリンクはユーザーをアプリ内の特定のページに誘導します。そうでない場合は、ユーザーはApp Storeにリダイレクトされます。

アプリ広告成功のためのリターゲティング

明確に定義されたオーガニックおよび有償のユーザー獲得戦略は、アプリ立ち上げの成功とユーザー基盤の質の向上の鍵です。しかし、これはパズルのパーツのひとつでしかありません。一般的に、既存の顧客基盤の有用性を最大化することは価値を大きく向上させることになります。成功を求めるマーケターは、顧客基盤を拡充するだけでなく、顧客の獲得と管理に関して隅々まで全体を見渡す視野を持たなければなりません。その意味で、明確なリターゲティング戦略はモバイルのパフォーマンスマーケティング(このトピックをより掘り下げてお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください)の経済的側面を変える可能性があります。平均して、リターゲティングは従来のユーザー獲得費用1ドル当たりで3倍のセッションを創出し、クリックスルーレートも約48%高くなります。実際、私たちの調査では、リターゲットされた休眠ユーザーが再度お金を使う可能性が173%高くなりました。

アプリマーケター、そして特にeコマースの小売業者にとって、リターゲティングはユーザーを彼らが検索した製品に呼び戻し、ゆくゆくはコンバージョンにつなげるために極めて有用です。ショッピングカートを放置する率は69%にもなり、これはmCommerceに携わる企業にはかなりの痛手です。リターゲティングはユーザーに製品を再認識させます。そして、それは顧客を取り戻すだけでなく、製品への接触を通じたブランドの認知向上にもなるのです。ゲームパブリッシャーも同様に、モバイルデバイス上でモバイルゲーマーをリターゲティングしています。

その他のメリット

  • 新規ユーザーのリターンが減ったとしても、新たに獲得したユーザーに対し極めて的を絞った広告でフォローアップすることで、ユーザー獲得の努力がより長期にわたって利益をもたらします。
  • マネタイゼーション、リテンション、バイラリティのすべてのKPIにプラスの影響をもたらすことができ、ユーザー基盤全体のリターンが増大します。
  • 既存ユーザーのリターゲティングへの追加的投資は、ある時点で新規ユーザー獲得のそれよりも少なくなります。

まとめ

リターゲティングは、賢く使えばロイヤルユーザーを繋ぎ止め、彼らをアプリにとっての優良顧客に変え、広告主のROASを改善することができます。このファネルを理解し、まずはアプリ内イベントデータを裏付けにしてユーザーをセグメント化することから始め、独自のメッセージングを構築しましょう。ファネルを確実に理解することで、皆さんはKPIを意識するようにない、マーケティング戦略全体にぴったり合致するリターゲティングプランを考案できるようになります。また、キャンペーンのKPIに基づいた効果的なリターゲティング戦略の立案をサポートしてくれるリターゲティングパートナーと連携することも必要です。

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